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2008年2月10日 (日)

英国の光と影

阿川弘之の「大人の見識」という本を昨年末に読んだ。文芸春秋の3月号で「英国の光と影」と題した著者の文章がのっていた。同書に獅子文六、小泉信三、福原麟太郎、池田潔の英国論を多く引用したが、英国の光の部分を表現することが多く、影の部分もきちんと紹介すべきであったということで、会田雄次著「アーロン収容所」と、陳舜臣著「実録アヘン戦争」を紹介している。中で「ドーヴァー海峡を渡った英国紳士は紳士でなくなる」という俚諺をひいているが、これは一般論としても含蓄ある表現のように思った。
戦時の状況とは比べるべくもないが、海外で暮らす人間には特に軸足が必要だと最近よく感じる。自分のよってたつところが何か。それがないと精神が不安定になる。身近には家庭が生活の基盤となる。あるいは父母、ふるさとといったつながりを大事にすること。あるいは宗教的なバックボーンか。それによって心を平静にし、前向きな精神状態を保つことができる。根無し草とはよく言ったものだ。転石苔を生ぜずと言ってもよい。(後者はいい意味にも使われるらしいが)。何か好きなものが軸足になることもある。人間、キョロキョロばかりしていてはいけないということのようだ。
話は戻るが、上海に暮らしていた時、欧米人が元気なく、時にはだらしなく見えることもあった。数自体それほど多くはなかったのだが、不自由な生活の中で、なんとなく屈折しているような感じの人も少なくなかったようにも思える。自分の国を離れて海外に暮らす際には、やはり「自分の軸足」をしっかり意識しながら生活をする必要があると思った。そうでないと、どちらつかずの中途半端な人間になってしまうような気がするのだ。逆に、祖国で平穏に暮らす人々は、やはり落ち着いたいい感じなのである。一般的には、アメリカ人はアメリカで接するとき、イギリス人はイギリスで接するとき、そして日本人は日本で接するときにこそその国の人本来の特徴を発揮しているのではないかと思う。

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