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かばん

 今日私は早めに仕事をきりあげ、6時16分霞ヶ関発綾瀬行きの千代田線で帰宅した。始発なので、らくに座ることができた。西日暮里で大勢乗って、次の町屋で降りにくくなるので、ちょっと迷ったが、進行方向右のシルバーシートのドア側に座った。カバンの外側のポケットに入れてあった高島俊男の「同期の桜」を読んでいたが、湯島あたりで眠くなって目をつむってしまった。
 降りようとするとカバンが何かにひっかかった。私の立った席に座ろうとしていた男の子がなにやら言っているが聞こえない。その親らしき人も何か騒いでいる。ドアが閉まりそうになったのであわてて飛び降りて、ふとカバンを見るとどうもいつものカバンと違う気がした。縦長のはずのカバンが横長の薄い手提げに見えた。「カバンを間違えたんだ!」とあわてて電車を見るが、もうホームの向こうの方へけたたましい音とともに発車した後だった。「いや、間違えたんじゃなくて、3つ持っていた出張荷物を2つ置き忘れたんだ。どうしよう。」と思ったが、もう一度カバンを見ると、なぜかいつものマンハッタンパッセージのリュックサックだ。「なあんだ。勘違いか。」と胸をなでおろし、町屋の駅から歩いて帰宅した。
 家に帰ってカバンを再度みると、オヤッ、上部のファスナーが開いてカバンがぺっちゃんこだ。急いで中を確かめると、「無い!」。私はいつもバックインバックというのだろうか、小さなバッグを2つカバンに入れている。昔しょっちゅう出張していたので、パスポートやら財布に入りきらないカード類やらこまごまとしたものを入れているのだが、その2つの入れ物が無いのだ。「やられた!中身だけ盗まれたんだ!どうしよう。」とうろたえる。
 2階に行って歯をみがきながら、茶碗を洗っている家人に「カバンの中身をとられた。」と告げる。また1階に戻る階段で状況を思い出す。カバンは膝に乗せていた。読みかけの文庫本を上において両手をのせてウトウトしていたのだが、あの状態で物をとられる訳がない。おかしい。山の手線はちょうど1時間で一周してくるが、電話をすれば見てくれるかしら。ただ今日乗った電車は青い線が入っていたから京浜東北線だったか・・・。そうするとどこまで行ってしまうんだろう。そもそもどこに電話したらいいんだろう。明朝にするか。会社に出勤したら、一応届け出が必要か。そういえば、シンガポールに出張時に、別件で出張していた人がレストランでアタッシュケースを置き引きされたことがあったな。あの人は届出してたなあ。20年くらい前に私自信も網棚にカバンを置き忘れたことがあったな。あのときは早朝、長津田の駅から電話があって見つかったんだ。とにかく腑に落ちない。おかしい!と悶々とする。
 ・・・そうこうしながら、ふと「これは夢じゃないか。」という思いが頭をよぎる。「絶対こんなことはありえないじゃないか。部屋のあそこに置いてあるのはいつものカバンじゃないか。」と思いつつ、次第に頭がはっきりしてくる。ベッドの上から目をこらすと、私のカバンはいつものとおり、机の前の椅子の上においてある。よっこらしょとベッドから起き上がり、中を確かめると、ちゃんと全部入っている。そう、これは夢だったのだ。
 今日、私は早めに仕事を切り上げ6時6時16分霞ヶ関発綾瀬行きの千代田線で帰宅した。帰宅して夕食をとり、三女が帰って来て、上野に一人暮らしをしている長女がスリランカに行くとか行かないとかいう話をしていた。疲れたのでベッドにうつぶせになっていたら、家内が背中をたたいてくれた。眠くてしようがなかったが、やっとのことで起き上がり二階で歯をみがき、再度ベッドに入り、ラジオを聴くともなく聴きながらまたウトウトしていたのだ。そのほんの30分くらいの間に、怖い夢を見ていたのだ。いろんな要素がごちゃまぜになって思い出してみると、ところどころつじつまが明らかにあっていないのだが、本当にリアルな夢だった。スリランカの話から、海外出張の時の大荷物を思い出し、カバンから網棚に置き忘れる連想になっていたのだろうか。肩がこって、頭の血のめぐりが悪くなっていたのだろうか。職場を変わって大きな生活の変化があったが、気づかぬうちに体に変調をきたしていたのだろうか。いずれにせよ気をつけた方がいいかもしれない。怖いものは何も出てこないのだが、とにかく怖い夢だった。くわばらくわばら。

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