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2011年5月28日 (土)

「大局を読む」

 大学1年の時からフォローしている日下公人さんが、今回の震災に関してどういう意見を持っているかを知りたくて、長谷川慶太郎、日下公人「東日本大震災 大局を読む」を読んでみた。人災という部分に関し、思いのほか厳しい意見を述べているのは、これまでの経験を思い起こした無念の気持ちも強いからか。長谷川氏とはかなりの部分で意見が一致しておらず興味深いが、一貫して披露されている日下さん一流の柔軟な見識からはいつも新鮮な切り口を教えられる。
(以下、いくつか文中より引用)
・日本ではジェネラリストというと、広く浅く知っているだけだから役に立たない人の意味になるが、アメリカでは優先順位をつけられる重要な人の意味になるらしい。
・これまで庶民は日本に底力があるということをかなり見せてきた。反対に今回、底力がゼロであると明らかになったのは学識経験者だ。
・防潮堤を建設するお金があるなら住宅を高台に移した方がよかったのだ。住民の命がかかっていたのに、防潮堤にお金を使って誰が喜んだかといえば地元の土建屋である。
・私は日本にとってマスコミは最大の脅威だと思っている。
・みんなお金を使わないのだからインフレになるはずがない。
・公的資金にたかるような根性は捨てなければならない。
・全国一区で15万票を目指す選挙なら、土着の票をくみ上げるような選挙運動はやらなくてすむ。
・私はリーダーはなるべくいらないと思っている。リーダーなしでも、お互いに調整しあってうまく動いていくようなシステムを考えた方がいいし、それが日本型である。リーダーが必要とまず考えるのは全知全能の神様を崇めるキリスト教の発想である。
・税金を引上げて、そのお金をきちんと使えるようなリーダーをどうやってつくるのか。今の日本にはいないし将来も出てきそうにない。
・住民に自分のことを自分でやられると国家は困る。
・原発事故対策の支援はデータを取りたいだけが多い。
・本来、危機がやって来る前に何が危機なのかを見極めておかなければならない。そのためには賢明さと覚悟が不可欠だ。
・地元に残っている東北人と東京にいる東北人は違う。
・地域開発についての考えは、昔からいろいろあった。それをめぐる議論もいろいろあった。いろいろ思い出すことは多いが、現状はあまりにも無残で何も言えない。
・自分で考えて判断する人はもう地方にはいないのかもしれない。残っている人は肩書を信じ、中央政府の資金を頼り、眼前の平穏無事を願って「津波が来たら、死にますよ」といわれても「いいよ」と答える。・・・自分で原発について勉強しないで、国家が安全というから原発誘致に賛成した人は、当時は常識的な人だっただろうが、しかし、こうなってみれば手抜きの人生だった。
・”迷惑施設”を受け入れる25キロ四角の無人地帯。・・・このアイデアはたぶん不発に終わると思うが、いずれにしても今すぐそのような議論を始めてもらいたい。
・国家を信用するな、国家に頼るな、自分の力で何とかやれ、お客様が生命だ、ということで、そうしていくうちに商売人としての道徳や道義力は自ずと身についていくに違いない。
・科学のレベルがあまりに上がってしまったから、下にはわからない。科学者自身も上に行ってしまったので、下がわからなくなっている。その間をつなぐ人が必要だと思う。それは下から見れば信用のおける専門家であり、上から見れば他人の心配が分かる専門家だ。そういう専門家のことを米国ではトランスサイエンティストといっている。
・いずれにしても、私は何でも自由化がいいという立場だ。原発は国有化したほうがいいという人もいるが、何をいっているのだと思う。原発もどんどん民間に勝手にやらせればいいではないか。むしろ国家がやると危ない。これまで日本の電力会社はエネルギー多様化のアイデアを全部蹴飛ばしてきた。たとえば小型原発ならトンネルを掘って山の中に入れておけば爆発しても平気だ。
・復旧してはいけない。もとに戻してはいけないのである。復旧を行ったら前と同じになるから、復旧を主張している人は退場してほしい。
・結局、国家がお金を持っていて、それをばらまくのが諸悪の根源だから、国家が貧乏になるのはよいことである。だから、これを機会に消費税を上げようとか、復興債を大量に発行しようというのはとんでもない話で、同じく公共投資をしてもらって、食わしてもらおうというのもとんでもないことである。
・自然災害によって組織が内部に持っていた不合理が顕在化したが、歴史を見るとそういう大変化と大掃除はたいてい戦争がしている。日本はこれまで60年間も戦争をしていないので不合理が蓄積している。
・公的資金の貸し出しは、ほとんど返済されないから金融としては犯罪に近い。
・東日本大震災の後に来るのは自由化と民営化でなければならない。神戸は他山の石なのである。

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