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円高の弊害

 藤巻健史氏の「マネー避難」を読んでみました。
 国際・株・株のトリプル安を予想し、資産を守るための外貨分散投資の重要性を説いています。「今、資産にも安全を求めるのなら、これだけの政治力、経済力、軍事力のある米国にまずは資金を避難させるのは当然かと私は思います。」と、ドルに関しては相変わらずかなりの重きを置いています。この辺はまあ従来の論陣の延長線ですね。
 面白いなと思ったのは、経済復活のソリューションとして、「電力料累進課金制」を説いている点でした。簡単に言うと電気代の値上げですが、規制や計画で電力量をコントロールしようとすると、「不満」「見解の相違」「差別観」「不公平感」がでてきて非効率。要するに経済を規制や倫理観、思いやりでコントロールするのは、基本的に無理なので、こういう時こそ市場を活用すべきと主張しています。これにより代替エネルギーの開発も加速するという見かたです。
 最後にまとめとして日本経済の低迷の主な原因を過度な「円高」で説明し、為替が国力を反映して動かなかったのは、日本が本当の資本主義ではなかったからだという分析を展開しています。結論としては、財政破綻と今回の震災で「大幅円安」がすすみ、その荒波をのりこえた先に国際競争力の回復への道が見えてくるというシナリオを展開しています。
 通貨を安く保つことが経済の国際競争力につながるというのは、中国の元を見ていれば分かり易い話です。同志社大の浜矩子さんなどは「1ドル50円時代」を予想していますが、藤巻氏の円安予想との関係を考えると、おそらく後者は国債のデフォルトをトリガーとする日本経済の枠組み崩壊というイベントを軸に展開するシナリオなのかなと思います。前者 はこういったイベントのでこぼこにフォーカスするというよりは、もう少し巨視的に見ているのかもしれません。前者は学者のスタンス、後者はディーラーのスタンスという印象もあります。両者をミックスして今の状況を考えると、米国はドル安によってしたたかに自国経済の立て直しを考えているとも見えます。逆にそれはイコール日本経済にとっては負担のしわ寄せになります。
 いずれにせよ、我々の関心としては明日の生活がどうなるかという点が気になる訳ですが、ポイントは、今後、日本経済の枠組みの壊れ方の「度合い」がどの程度になるかという点かもしれません。その度合いを少しでも軽減するという観点で物を考えた方がよさそうですし、今回の震災、津波、原発事故で「壊れる」シナリオの現実性が高まったと考えるべきでしょう。身の丈に合わない生活をしてきたツケに支払う代償はとんでもなく大きいものになりそうですが、一方で、ここまでこないと旧態依然たる体制は変わらなかったのだろうなということも事実として受け入れなければいけないのでしょう。

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