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2011年8月14日 (日)

キュレーションの時代

 徳島の阿波踊りを見に行きました。気楽なバス旅行で、帰省ラッシュの渋滞もあったので、その間佐々木俊尚氏の「キュレーションの時代」を遅ればせながら読み終わりました。
 「電子書籍の衝撃」もそうでしたが、本全体の組み立てをしっかり考えているなということと、語り口に物語性を持たせて、一部ジャーナリスト的なやや大げさな表現や、無理筋な印象の部分もありますが、面白い読み物になっていると思いました。グローバル化イコール画一化でもないという論旨もなかなか面白いなと思います。以下、少し引用・・・

・「大きなビジネスにならない」と広告業界人が不満を持つのは勝手ですが、もう大きなビジネスなど存在しないのが二十一世紀の情報流通の真実なのです。もしそこに大きなビジネスを求めようとすれば、アップルのiTunesやグーグルの検索エンジン、あるいはSNSのフェイスブックやツイッターのように、情報流通のプラットフォームを目指すしかありません。
・マス消費のようなどんぶり勘定ではなく、ピンポイントでその映画を見てくれる人のビオトープを探し当て、そこに情報を送り込んでいく緻密な戦略を本当は構築しなければならなかったのです。しかしそうした発想を、音楽業界も映画配給業界もついに持てないままに2010年を迎えてしまいました。
・農村、そして戦後は企業が社員をまるごと抱え込み、そこに息苦しいほどのコミュニティを形成するという社会構造は90年代以降消滅に向かい、「どのようにして人と人が接続するのか」「どのようにして自分は他者に承認されるのか」という新たなテーマが日本社会の中心に躍り出てきます。
・こうしたモノと自分を重ね合わせることを可能にするためには、そのモノの持っている記号としての価値を社会全体で共有するような基盤が存在しなければなりません。そしてこの記号価値の共有は、マスメディアに情報が一元化されることによって成り立っていました。テレビで流されるCM、雑誌広告、新聞広告がモノの記号価値を高らかにうたいあげ、その情報を消費者は一元的に呑み込んでいたのでした。
・たとえば80年代ぐらいまでは、「洋楽を聴く方が邦楽を聴いているよりカッコいい」「クラシックの方がジャズやポップスより格上」というような共通認識が存在し、これによって本当は好きでもないのにカッコつけて洋楽やクラシックを無理やり聴いている背伸び消費的な若者がたくさん存在したのですが、いまやそうした人はいなくなりつつあります。・・・そこには「クラシックオタク」がいるだけで、「クラシックを聴いているハイソな人」というのはもはや笑のネタでしかない。
・だからマスメディアが演出した記号消費がなくなっていく世界では、モノの消費はふたつの方向へと分化していく。
 消費が本来生息していたなつかしい場所、シンプルな「機能消費」の古巣へ。そして新たな「つながり消費」の世界へ。
・記号消費の衰退、クラウドとシェアによる「所有しない」という新たな生き方、そして人と人とのつながりを最も大切だと考える若い人たちの台頭。
・「視座にチェックインする」という新たなパラダイム
・エンゲージメントをもたらすのは人格だ。
・視点を固定しなければ情報はうまく集まらないけれども、視点を固定した瞬間に情報はタコツボ化してしまう。
・コンテンツとコンテキスト。そしてコンテキストを生み出すキュレーターの視座と、その視座にチェックインする人々。そういう構造。
・キュレーターの定義とは、収集し、選別し、そこに新たな意味づけを与えて、共有すること。
・ゆらぎのない硬直化した同心円的閉鎖社会から、私たちは「ゆらぎ」をつねに生み出すダイナミックな多心円的オープン社会へと、いまや踏み込みつつあるのです。
・ところがインターネットのメディアが普及し、コストが低下していくと、「除湯方発信パワー」にはあまり意味がなくなってきます。
・文化のグローバルプラットフォームが、文化の多様性をさらに高めて新たな文化を生み出すことができるというのは、実は歴史が証明しています。・・・グローバリゼーションと画一化は、実はイコールではないのです。多様性を許容するプラットフォームが確率していけば、私たちの文化は多様性を保ったまま、多の文化と融合して新たな文化を生み出すこともできる。その世界で新たなまだ見ぬ文化は、キュレーションによってつねに再発見され続けていく。

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