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足るを知る

 昨日、埼京線の戸田公園という所で用事を済ませた後の帰り道、午後5時ころ赤羽から京浜東北線に乗り換えました。赤羽から同じドアから乗り込んだおじさん、というか多分70前後だと思うので、もうおじいさんと言っていい年配の人が車両の端の3人がけの優先席に2つあいているシートに座りました。私も向かいの席に座りました。おじさんは一瞬ホームレスかなと思うくらいくたびれた雰囲気だったのですが、改めて見ると服もかなり傷んでいるもののさほど汚れている訳でもなく、臭くもないようでした。顔つきを見ると、大工仕事でもやってる人かなという印象がちょっとしました。
 電車が赤羽を出ると、おじさん、持っていた手提げからコンビニ弁当の入れ物のようなものを2つ取り出しました。透明なフタから、煮物のようなものがのぞいています。ご飯もついていないので、何かの会合の余り物をつめたものを貰ってきたのかもしれません。
 おじさん、フタをあけると中をちょっと見ていましたが、箸も無いようだったのでどうするのかなと見ていると手でつまんで食べ始めました。「やるな」と思いつつ、ちょっと目を転じて社内広告を眺めていると、そのうち何か飲み始めました。おやと思い改めてそちらに目をやると、ワンカップの白鶴をあけてちびちびやりながら高野豆腐のようなものをむしゃむしゃやってます。おかずを食べる間は、ワンカップの置き場所が無いので足下の電車の床に置いちゃってます。田端につくまでの間で、おかずとワンカップをチャチャッとやっつけると、白いレジ袋に入れ物をきちんとつめて几帳面に口を結ぶと足下に置きました。
 この間、約10分の出来事。これがこの人の夕食かな等と勝手に想像してしまいましたが、むしゃむしゃ口を動かしているおじさんの満足そうな顔と、お酒をうまそうに飲んでいる表情が印象に残りました。暖房で暖かく、すいた電車のシートで何のてらいも気負いもなく悠然と煮物の余り物でワンカップをやって「今日はいい日だった」と言うようにうれしそうにしているみすぼらしいおじいさん。人生を額面どおり受けとめているような、それでいて満ち足りた風情に「おっさん、やるな」と再び思いつつ私は西日暮里で電車を降りたのでした。

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