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言い得て妙

 5/16に亡くなった邱永漢氏の発言に、「日本の国債を保有しているのはほとんどが日本人だから大丈夫だ」と安心していますが、誰が保有していようが借金は借金です」、「日本国内は2種類の日本人だけになる心配があります。毎月13万円を手にする生活保護の受給者と、彼らに選ばれた政治家です。」というのがあるそうだ。極めて誇張した言い方だが、今の日本の状況を鑑みるとある意味腑に落ちる。
 随分昔、マーガレット・サッチャーの回顧録、自伝を読んだ時に思ったのは、「国家を家庭の一人の主婦のような感覚で切り回しているな。」という印象だった。実際はそういう話ではなかったのだろうが、つい「大きな主語で語ってしまう」感覚のなかではそういう気がしたものだった。何故サッチャーのことを持ちだしたかというと、その時から「国家だから個人とは違う」という物の考え方ははちょっと違うなと思っているからだ。国債は国の借金だが、借金が途方もなく大きくなっても国だから大丈夫という話ではないだろうということ。サッチャーはまた「社会というものはありません。あるのは個人と家庭だけです」という言葉も残している。そのサッチャー女史も今は認知症が進み、表舞台に姿を見せることはなくなってしまったのは時の流れを感じざるをえない。そういえばレーガン元大統領もアルツハイマー病だった。
 邱永漢氏の言葉に戻ると、そういった今の時代への提言は「世界を舞台に働くこと」なのだそうだ。だれもがそうできる訳ではないが、少なくとも気持ちの上では、国や会社や誰かに何かをしてもらうことや既得権を守ることに窮々とするのではなく、地に足をつけて自分の力で立つ気持ちを持つということは大事なのだろう。分かっていると自分では思っているつもりでも、実際はなかなか難しいことだ。「毎月13万円を手にする生活保護の受給者と、彼らに選ばれた政治家だけの国」というのは漫画的に言い得て妙である。

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