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狼森と笊森、盗森

 この間Kindleに宮沢賢治の作品を数冊ダウンロードして読み返している。昔、家に子供用の宮沢賢治作品集があったのでよく読んでいたが、その頃は何となく暗いイメージが馴染めなかった。その後中学、高校で改めて代表作を読んで、その世界観に引きこまれ、当時順次発売されていた全集を何冊か買って、少しずつ研究してみようか等と思ったものだった。高校の文化祭で「セロ弾きのゴーシュ」を人形劇に仕立てて発表したこともある。人形も自分たちで作り、「インドの虎狩り」は音楽の先生にわざわざ作曲してもらい、学校のオーケストラのチェロの人に弾いてもらったものだ。
 高校の後半からは遠藤周作や司馬遼太郎、曽野綾子といった作家の本を随分読んだので、宮沢賢治からはだんだん遠ざかってしまったが、電子書籍では著作権切れという事でかなりの作品が無料でダウンロードできるようになっているので、改めて読み返しているのだ。
 読み返すと言っても、まだ読んでいない作品が山のようにあるのだが、最近読んだ中で、「狼森、笊森、盗森」という短編は心に残った。小岩井農場の北を開拓する農民を描いたものだが、素朴ながらたくましくおおらかに生きる人達と自然とのふれあいが不思議なリズムで清々しく描かれている。おびただしい数の作品の中では多少のむらはあるものの、その感性の深さと広がり、美しいことばづかいには天才を感じる。世にあふれるビジネス書は、もしかすると自分でも届く距離にあるかもしれないというものが多いが、こういった文学はやはり芸術という次元の違う世界にあることを改めて感じるのだ。

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